人体の温度
人体温度の大小
- 直腸温(核心温)>顔>平均皮膚温度>手>足
- 核心温:外部の環境温度変化による影響が少ない身体深部の温度
- 核心温の測定箇所:直腸温、食道温、舌下温、鼓膜温
人体の温度について
- 体温調節機能は、恒常性(ホメオスタシス)の一例である。
- 外気温が変動しても影響を受けにくい身体内部の温度を核心温という。
- 核心温は、ホメオスタシスにより約37℃に保たれている。
- 核心温は、身体表面の温度に比べて外気温の影響を受けにくい。
- 平均皮膚温は、各部位の皮膚温をそれぞれの皮膚面積で重みづけ平均した値である。
- 平均皮膚温の算出式であるHardy-DuBoisの7点法で、皮膚温の重みづけが一番大きいのは腹である。
温度変化の影響について
- 顔、手、足等の身体的表層部の温度は、外気温の影響を受けやすい。
- 寒冷環境では、温暖環境に比較して、体内と身体表層部との温度差が大きくなる。
体温調整について(「自律性体温調整」と「行動性体温調整」)
- 体温調節は、「自律性体温調整」と「行動性体温調整」に分類される。
- 寒冷環境で生じるふるえは自律性体温調整である。
- 発汗反応は、自律性体温調節の一つである。
- 冷房や扇風機の利用は、行動性体温調整である。
- 服を着ることや冷暖房を使用することで体温の調整をすることを行動性体温調整という。
デキビル
「自律性体温調整」と「行動性体温調整」の違いは重要ポイントです。
人の熱産生・熱放散機能
- 熱産生:食べ物の代謝、筋緊張、ふるえ
- 熱産生は、摂取した食物の代謝による化学的エネルギーに由来する。
- 熱放散:皮膚血管の拡張、発汗
- 熱放散は、対流、放射、伝導、蒸発の物理的過程からなる。
- 放射は、物体から熱エネルギーが電磁波として放射される現象である。
- 対流による熱放散は、流体の流れに伴う熱エネルギーの移動現象である。
- 蒸発による熱放散は、水分が皮膚から気化する時に皮膚表面から潜熱を奪う現象である。
- 伝導による熱放散は、体と直接接触する物体との間の熱エネルギーの移動現象である。
人の体温
- 体温は、熱産生と熱放散のバランスにより一定に保たれている。
- 熱産生>熱放散:体温上昇
- 熱産生<熱放散:体温低下
- 高温環境下においては、人体の熱産生量は低下しない。(熱放散量が増える。)
人の温熱的快適性
人の温熱的快適性に関すること
- 温熱的快適性とは、熱環境に対して満足感を表現できる心の状態をいう。
- 人の温熱的快適性は、環境側要素と温熱環境要因(人体側の着衣量、代謝量)に影響される。
- 温冷感とは心理反応であり、人間の主観的評価による指標である。
- 一般に、平均皮膚温が33-34℃の時に温熱的中性申告が得られる。
- 快適感尺度は、諸外国で開発されたものを日本語に翻訳して用いられている者が多く、言語による違いが生じる。
温熱的快適性の感じ方の違い
- 女性の快適温度は一般的に男性より高い。
- 涼しい環境では、男性より女性が寒さを訴えやすい。
- 夏の快適温度は、一般に冬に比べ2-3℃高い。
- 過去数十年の間のオフィスビルにおける温度設定は、大きく変動してきた。
高齢者の温熱的快適性
- 一般に若年層に比べ、温かい温度を好むとされている。
- 冬季には、室温は若年者に比べ低い場合が多い。(感受性が低下しているため)
- 冬季には、若年者に比べ深部体温は低い傾向にある。
- 放射熱がない場合、高齢者の8割を満足させる気温の範囲は青年に比べ狭い範囲となる。
- 高齢者では、寒冷環境に曝露された際の血圧の変動が若年者に比べ顕著である。
寒冷障害(低温障害)について
- 5℃以下の水に突然つかると、5~15分間で生命にかかわる低体温症を生じる。
- 気温が13~16℃程度でも天候によっては低体温症となる。
- 乳幼児や高齢者は寒さへの適応力が低く、低体温症のリスクが高い。
- 低体温症の診断は、直腸温を測定する。
- 凍傷による障害は、組織の凍結と周辺の血管収縮・血栓による血流阻害により起こる。
デキビル
どれも重要ポイントです。特に女性と高齢者の温熱的快適性についてはよく出題されます。