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ビル管法改正点まとめ

改正情報
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令和4年4月1日より
建築物環境衛生管理基準の一部、建築物環境衛生管理技術者の選任に関する事項が改正予定です。この改正はビル管受験者だけではなく、ビル管理に従事する人に大きく関係する内容となります。この記事が試験対策だけではなく、日ごろのビル管理においても役立つ情報となれば幸いです。

試験対策として

令和4年4月1日に改正される内容は試験で最も重要な分野であると思います。既存のテキストや過去問と内容が異なってきますので注意が必要です。現時点で分かっているポイントを厚生労働省HPを参考にしながらまとめていきます。

さらに、この記事では改正点だけでなく、そこに至った経緯そのほかの検討内容等も補足しながら解説していきます。試験センターに確認した疑問点もまとめています。

注意点

  • できるだけ要点を簡潔に解説するつもりですが、専門家ではないため間違っている可能性もございます。
  • 改正点を経緯含めてまとめていますが、試験で出題されるのはごく一部の改正部分だと思います。この記事すべてを理解する必要はないと思います。
  • その他お気づきの点等ございましたら、お手数ですがお問い合わせよりご連絡ください。ご協力よろしくお願いします。
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交付された政令及び省令

  • 建築物における衛生的環境の確保に関する法律施行令の一部を改正する政令
  • 建築物における衛生的環境の確保に関する法律施行規則の一部を改正する省令

(令和3年12月24日公布、令和4年4月1日施行)

改正の趣旨

  • 国際基準等に基づき見直すことが適当とされた建築物環境衛生管理基準の一部を見直すとともに、
  • ICT(後述)の進展等を踏まえ、管理技術者の選任に関する事項等について見直すものであることとされています。

次に、実際の改正内容を解説していきます。
ここからの内容は試験対策として最も重要な部分となります。

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建築物環境衛生管理基準の改正

国際基準(WHOのガイドライン)に基づき見直すべきとされた一部(一酸化炭素及び温度)が改正されます。

居室における一酸化炭素濃度

改正前

  • 10ppm以下
  • 特例として外気がすでに10ppm以上ある場合には20ppm以下

改正後

  • 6ppm以下
  • 特例廃止

居室における温度

改正前

17~28℃

改正後

18~28℃

建築物環境衛生管理基準の改正ポイント

一酸化炭素及び温度については押さえておきたい改正内容となります。建築物環境衛生管理基準の根幹となる基準の見直しのためです。

この建築物環境衛生管理基準はビル管試験において、まず初めに勉強する内容です。そして、既存のテキスト等は改訂等が行われない限り旧管理基準の記載となので注意が必要です。

今後、青本や各テキストで改訂・重版がされていくと思います。

また、改正に関した疑問点を試験センターに問い合わせてみました。

試験センターに確認した内容

試験は改正前・改正後どちらの管理基準値で出題されるのか?

試験センターに確認したところ、

「改正前の基準値で出題することはありません。」と解答がありました。

つまり改正後の基準値で試験対策をする必要があります。

注意:改正点が必ず出題されると限りません。

青本の改訂について

試験センターに確認したところ、

「直近で改訂の予定はありません。」と解答がありました。

最短でも10月以降とのことです。

法令の基準日(いつの時点の法令で試験を行うか)について

試験センターに確認してみたところ、

「法令の基準日の規定はありません。」と解答がありました。

ただし、試験問題作成に当たっては、受験者が問題を読み解けるように配慮がなされているようです。

余談:例えばコロナに関する直接の問題は、試験作成後に二転三転する可能性があるため出題される可能性低いと思っています。その代わり、2021年は指定感染症の分類による規制や消毒・滅菌に関することが細かく出題されました。出題する側に立って想像してみると、今回の改正は確定されている内容のため出題される余地はあると思います。(出題されると断定はしません。)

その他の環境衛生管理基準の検討内容

以下の内容も検討されましたが、今回は改正となりませんでした。
引き続き検討予定となっているものもあるので将来的に改正になるかもしれません。

二酸化炭素

1,000ppm以下の低濃度であっても健康影響があるため直ちに見直すことは適当ではないとされました。大気中の二酸化炭素濃度は上昇傾向にあるため、基準値1,000ppm以下を維持するためには外気導入量を年々増加させる必要がありますが、既存の建築物の換気設備能力との兼ね合いや省エネルギーの観点で課題があります。
今後、二酸化炭素による健康影響を踏まえた上で、建築物衛生法における二酸化炭素濃度の基準値のあり方が引き続き検討される予定です。

微小粒子状物質(PM2.5)

PM2.5による健康影響を考慮すると、今後、建築物衛生法においても管理基準項目として追加することが適当とされました。追加する場合は測定手法、建築物内部の維持管理方法、事業登録制度との整理等が必要となります。なお、管理基準項目として追加するまでの間、国はPM2.5の維持管理手法として、室内の発生源の抑制や中性能フィルタの導入等の対策を周知することも検討すべきとされました。

建築物環境衛生管理技術者の兼任要件の改正

ICT(情報通信技術)の進展等を踏まえた改正です。

改正前

  • 原則兼任は認めず、一定の条件を満たせば認める場合がある。
  • 一定の条件として
    • 特定建築物の相互の距離、用途、構造設備の状況や特定建築物維持管理権限者が同一である場合等、職務遂行上問題がない場合は兼任を可能としていた。

改正後

  • 兼任する場合は、特定建築物所有者等が、建築物環境衛生管理技術者の業務の遂行に支障がないことを確認する。
  • 当該特定建築物について当該特定建築物所有者等以外に特定建築物維持管理権原者があるときは、あらかじめ、当該特定建築物維持管理権原者の意見を聴かなければならないこととする。

以降は余裕があれば目を通すくらいでいいと思います。

兼任要件見直しの論点整理(「第4回検討会における論点の整理」参照)

  1. 建築物の維持管理に係るICTの活用状況を踏まえ、特定建築物の相互の距離、それぞれの用途、
    特定用途に供される部分の延べ面積、構造設備、特定建築物維持管理権原者の同一性については、緩和することが適当である。
  2. ただし、無条件に棟数と延べ面積の制限を撤廃するのは適当ではなく、管理技術者の職務遂行に問題がない範囲で、兼任を認める条件と上限を設定する必要がある。
  3. また、ICTを導入することで無条件に管理技術者の兼任を認めることは適当ではなく、用いるICTにより、管理技術者のどのような業務が軽減されるのか等について、特定建築物維持管理権原者と管理技術者の双方で確認することが重要。
  4. この他、緊急に対応が必要な事態が発生し、遠隔地にいる管理技術者が直接対応できない場合、だれが対応にあたるのか等を予め定めておく必要がある。
  5. 一方で、建築物の用途や設備等の状況は様々であり、兼任できる棟数や延べ面積の上限を国で一律に示すことは困難である。

以上を踏まえると、

管理技術者が複数の特定建築物の管理技術者に選任される場合、それぞれの特定建築物の維持管理権原者が同一である必要はないが、管理技術者とそれぞれの維持管理権原者が兼任することについて合意形成することが重要。特定建築物の指導・監督を行う保健所においては、上記の合意形成ができているかを、書面等により確認する。

となります。

さらに、わかりやすいよう要約してみました。

  • ICT(情報通信技術)の活用状況によっては兼任可能だよね。
  • でも無条件で制限撤廃ではなく、職務遂行上問題ない範囲で兼任を認める「条件」と「上限」を設定する必要があるね。
  • いろんな建築物があるため上限を国が示すことは難しいね。
  • ICT導入でどれだけ業務が軽減するのか権利者、管理技術者双方で確認することは大切だね。
  • 管理技術者が遠方で対応できない等の緊急時の対応も定めておこう。
  • 兼任する際はみんなで合意形成を作ろう。保健所は合意形成を書類で確認すること。

となります。

用語の解説

ICT(情報通信技術)

  • 通信技術を用いたコミュニケーションを意味します。
  • ICTの進展等により改正前の一定の条件(※)を緩和することが適当とされました。

ICTの進展等とは

  • 測定データの速やかな共有
  • 自動測定による不具合の早期発見
  • 空調システムの機能により、システム把握が容易

建築物衛生管理に関するICTの現状

  • 測定データ等の情報を速やかに共有することができ、遠隔監視も可能。
  • 自動測定で日々のデータを蓄積し、不具合を事前に予知・早期発見することが可能。
  • IoTカメラ(ネットワークカメラ)の活用による点検頻度の向上
  • 空調システムの全体がわかりやすく表示するような機能により、建物全体のシステム把握が容易。

一方でICTでは対応困難な事例も確認されています。

  • 一酸化炭素、粉じんまで自動測定を行っている例は少ない。
  • 自動測定のセンサ類は、人が直接扱う測定機器と比較し、定期的な較正が困難である。
  • 既存施設にICTを導入する場合は、比較的費用負担が大きくなる。
  • ねずみ等の防除、清掃等はICTの活用になじまない。

要約すると

現状はICTの進展もあるけど、ICTでは対応困難なケースもある。
しかし、ICTの進展により兼任要件の一定条件の緩和は適当だよね。

という内容になります。

最後に

以上がビル管法改正点まとめとなります。

お気づきの点等ございましたら、お手数ですがお問い合わせよりご連絡ください。

ご協力よろしくお願いします。

参考サイトリンク

記事を作成するにあたり参考にしたサイトです。