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事務所衛生基準規則改正点まとめ

改正情報
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令和4年4月1日より
事務所衛生基準規則の一部が改正されました。事務所衛生基準規則はビル管法と似ているため混同してしまうことがあります。この記事では事務所衛生基準規則とビル管法の違いについて解説していきます。

この改正はビル管受験者だけではなく、ビル管理に従事する人に大きく関係する内容となります。この記事が試験対策だけではなく、日ごろのビル管理においても役立つ情報となれば幸いです。

事務所衛生基準規則の改正は多岐にわたるため、試験に関係する部分を抜粋して解説します。

注意点

  • できるだけ要点を簡潔に解説するつもりですが、専門家ではないため間違っている可能性もございます。
  • 改正点を経緯含めてまとめていますが、試験で出題されるのはごく一部の改正部分だと思います。この記事すべてを理解する必要はないと思います。
  • その他お気づきの点等ございましたら、お手数ですがお問い合わせよりご連絡ください。ご協力よろしくお願いします。
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事務所衛生基準規則とは

  • 事務所衛生基準規則とは、事務所の衛生基準を定めています。
  • 労働安全衛生法に基づく省令として、事務所衛生基準規則が制定されました。
  • 建物権原者(所有者)でなく、事業者(テナント)に対する措置義務が規定されています。(床面積によらず対象となります。)
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ビル管法と事務所衛生基準規則の関係について

簡単にまとめてしまうと、

  • ビル管法は特定建築物に対する衛生基準です。
  • 事務所衛生基準規則は事務所のある建物に対する衛生基準です。

表にまとめると下記のような関係となります。

特定建築物特定建築物以外
事務所のある建物ビル管法事務所衛生基準規則事務所衛生基準規則
事務所のない建物ビル管法なし

ここで注意したいのが、事務所のある特定建築物である場合です。

ビル管法と事務所衛生基準規則の両方が該当し、それぞれで衛生基準の維持管理が求められます。

これまではビル管法と事務所衛生基準規則の「温度」の基準値は同じであったため、ビル管法の改正による事務所衛生基準規則の動向(改正等)が注目されていました。(事務所のある特定建築物である場合、ビル管法と事務所衛生基準規則の基準値が混在するためです。)

そして、

令和4年3月1日「事務所衛生基準規則の一部を改正する省令の施行等について」が公布されました。

事務所衛生基準規則の一部改正

WHOガイドラインやビル管法の改正に合わせて、事務所衛生基準規則の温度が見直されました。

改正の趣旨

世界保健機関(World Health Organization, WHO)が冬期の高齢者における血圧上昇に対する影響等を考慮してガイドラインにおいて室内温度の低温側の基準について18℃以上を勧告したこと及び同様の観点から建築物における衛生的環境の確保に関する法律施行令の一部を改正する政令(令和3年政令第347号)により、建築物における衛生的環境の確保に関する法律施行令(昭和45年政令第304号。以下「建築物衛生法施行令」という。)第2条について、居室における温度等の基準の改正が行われたことを踏まえ、事務所衛生基準規則(昭和47年労働省令第43号。以下「事務所則」という。)について所要の改正を行うものである。

改正省令の概要

事務所則の一部改正 事務所則第5条第3項において、事業者は、空気調和設備を設けている場合は、労働者を常時就業させる室(以下「室」という。)の気温が「17度以上28度以下」になるように努めなければならないこととされているところ、室の気温の基準を「18度以上28度以下」に改めたこと。

なお、空気調和設備を設けている場合以外であっても、冷暖房器具を使用することなどにより事務所における室の気温は18度以上28度以下になるようにすることが望ましいこと。

2022.4.12現在「事務所衛生基準規則の一部を改正する省令の施行等について」参照

建築物衛生法施行令の改正内容のうち、一酸化炭素の基準については、WHO/EURO (2010)の一般公衆向け基準が根拠とされており、事務所則の基準は変更されませんでした。

事務所衛生基準規則の構成

事務所衛生基準規則ではおおよそ以下について定められています。

  • 事務室の環境管理
  • 清潔
  • 休養
  • 救急用具

今回の一部改正部分やビル管試験、ビル管法と関連する部分を補足しながら解説していきます。

事務室の環境管理

  • 気積
    • 事業者は、労働者を常時就業させる室(以下「室」という。)の気積を、設備の占める容積及び床面から四メートルをこえる高さにある空間を除き、労働者一人について、十立方メートル以上としなければならない。
  • 換気
  • 温度
    • 事業者は、室の気温が十度以下の場合は、暖房する等適当な温度調節の措置を講じなければならない。
  • 空気調和設備等による調整(令和4年4月1日施行の改正部分)
    • 事業者は、空気調和設備又は機械換気設備を設けている場合は、室に供給される空気が、次の各号に適合するように、当該設備を調整しなければならない。
      1. 浮遊粉じん量(一気圧、温度二十五度とした場合の当該空気一立方メートル中に含まれる浮遊粉じんの重量をいう。以下同じ。)が、〇・一五ミリグラム以下であること。
      2. 当該空気中に占める一酸化炭素及び二酸化炭素の含有率が、それぞれ百万分の十以下(外気が汚染されているために、一酸化炭素の含有率が百万分の十以下の空気を供給することが困難な場合は、百万分の二十以下)及び百万分の千以下であること。
      3. ホルムアルデヒドの量(一気圧、温度二十五度とした場合の当該空気一立方メートル中に含まれるホルムアルデヒドの重量をいう。以下同じ。)が、〇・一ミリグラム以下であること。
    • 事業者は、前項の設備により室に流入する空気が、特定の労働者に直接、継続して及ばないようにし、かつ、室の気流を〇・五メートル毎秒以下としなければならない。
    • 事業者は、空気調和設備を設けている場合は、室の気温十八度以上二十八度以下及び相対湿度四十パーセント以上七十パーセント以下になるように努めなければならない。(なお、空気調和設備を設けている場合以外であっても、冷暖房器具を使用することなどにより事務所における室の気温は18度以上28度以下になるようにすることが望ましいこと。)
  • 燃焼器具
    • 事業者は、燃焼器具を使用するときは、毎日、当該器具の異常の有無を点検しなければならない。
  • 作業環境測定等
  • 測定方法
    • 省略
  • 点検等
    • 省略
  • 照度等(令和4年12月1日施行の改正部分)
    • 下記で解説
  • 騒音及び振動の防止
  • 騒音伝ぱの防止

照度等(作業面照度基準の変更)

事務所において労働者が常時就業する室における作業面の照度基準が、従来の3区分から2区分に変更されます。(令和4年12月1日施行)

  • 改正前の「精密な作業」と「普通の作業」が、改正後に「一般的な事務作業」の区分となります。
  • 改正前の「粗な作業」が、改正後に「付随的な事務作業(※資料の袋詰め等、事務作業のうち、文字を読み込んだり資料を細かく識別したりする必要のないもの)の区分となります。
改正前
作業の区分基準
精密な作業300ルクス以上
普通の作業150ルクス以上
粗な作業70ルクス以上
改正後(令和4年12月1日施行)
作業の区分基準
一般的な事務作業300ルクス以上
付随的な事務作業150ルクス以上

また、照度については「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」を解説したこちらの記事も併せて確認することをお勧めします。

清潔

  • 給水
    • 給水せんにおける水に含まれる遊離残留塩素の含有率を百万分の〇・一(結合残留塩素の場合は、百万分の〇・四)以上に保持するようにすること。ただし、供給する水が病原生物に著しく汚染されるおそれのある場合又は病原生物に汚染されたことを疑わせるような生物若しくは物質を多量に含むおそれのある場合は、百万分の〇・二(結合残留塩素の場合は、百万分の一・五)以上にすること。
  • 排水
  • 清掃等の実施
  • 労働者の清潔保持義務
  • 便所
    • 下記で解説
  • 独立個室型の便所の特例
  • 洗面設備等

便所の設置基準

便所の設置基準 早見表
男性労働者女性労働者
男性用大便所の便房60人までごと
男性用小便所30人までごと
女性用便所の便房20人までごと
独立個室型の便所10人までごと10人までごと
独立個室型の便所
(小規模の例外として)
常時10人まで常時10人まで
独立個室型の便所(令和3年12月1日公布、同日施行)
  • 新たに「独立個室型の便所」が法令で位置づけられた。
  • 男性用と女性用に区別しない四方を壁等で囲まれた1 個の便房により構成される便所(それ以外の便所は、男性用と女性用に区別すること。)
  • 単独でプライバシーが確保されており、男性用と女性用に固定されない天井や床の近くにすきまがある仕切り壁方式の便房とは、法令の上で区別して取り扱われる。
バリアフリートイレ
  • 所定の要件を満たせば事務所則に規定する独立個室型のトイレに該当します。バリアフリートイレには、様々なタイプがあり、その備えられている機能を必要とする人がいつでも利用可能となるよう、配慮が求められます。

休養

  • 休憩の設備
  • 睡眠又は仮眠の設備
  • 休養室等
  • 立業のためのいす

救急用具

  • 負傷者の手当に必要な救急用具及び材料を備え、その備付け場所及び使用方法を労働者に周知させなければならない。

事務所衛生基準規則で定められている部分を抜粋しましたが、ビル管法と重なっている部分が多数あることが分かります。

まとめ

以上が事務所衛生基準規則のまとめ及び一部改正部分の解説となります。

事務所衛生基準規則では、その他にも運用上の見直しがされている項目が多数あるため、厚生労働省の資料に目をとしておいたほうが良いかと思います。勉強資料として大変見やすく参考にしやすいです。

参考サイトリンク

記事を作成するにあたり参考にしたサイトです。