プラスチック資源循環促進法が施行されます。
この法律はビル管受験者だけではなく、ビル管理に従事する人も少なからず影響する内容かと思います。この記事が試験対策だけではなく、日ごろのビル管理においても役立つ情報となれば幸いです。
試験対策として
プラスチック資源循環促進法は、
清掃科目のリサイクル関連の分野に該当してくると思います。
ビル管試験では改正された法律が出題されることがあります。
2021年試験では健康増進法の改正部分が出題されました。
そのため要点程度は軽く抑えておくといいかもしれません。
ビル管法の改正点はこちらの記事で解説しています。
注意点
できるだけ要点を簡潔に解説するつもりですが、専門家ではないため間違っている可能性もございます。試験で出題されるのはごく一部の部分だと思います。この記事すべてを理解する必要はないと思います。その他お気づきの点等ございましたら、お手数ですがお問い合わせよりご連絡ください。ご協力よろしくお願いします。
交付された法律
「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」(略「プラスチック資源循環促進法」)
令和3年6月11日に公布、令和4年4月1日に施行予定。
目的
第一条:この法律は、国内外におけるプラスチック使用製品の廃棄物をめぐる環境の変化に対応して、プラスチックに係る資源循環の促進等を図るため、プラスチック使用製品の使用の合理化、プラスチック使用製品の廃棄物の市町村による再商品化並びに事業者による自主回収及び再資源化を促進するための制度の創設等の措置を講ずることにより、生活環境の保全及び国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。
法律の「目的」は穴埋め問題が出題されることがあります。
2015年度清掃分野より
使用済小型電子機器等に使用されている金属等を回収し、再資源化の促進、資源の有効利用の確保を図ることを目的とした法律が平成25年4月に施行された。
黄色線部分が穴埋め選択肢として出題されたことがあります。
法律の概要
製品の設計からプラスチック廃棄物の処理までに関わるあらゆる主体におけるプラスチック資源循環等の取組(3R+Renewable)を促進するための措置を講じるためのものとなります。
「3R+Renewable」とは、貴重な資源を循環させて持続可能な社会を目指すことを指します。
- Reduce(リデュース):源の量を少なくすること・廃棄物の発生を少なくすること。
- Reuse(リユース):繰り返し使用すること。
- Recycle(リサイクル):エネルギー源として有効利用すること。
- Renewable(リニューアブル):再生可能な資源に置き換えること。
背景
海洋プラスチックごみ問題、気候変動問題、諸外国の廃棄物輸入規制強化等への対応を契機として、国内におけるプラスチックの資源循環を一層促進する重要性が高まっています。そのため、多様な物品に使用されているプラスチックに関し、包括的に資源循環体制を強化する必要がありました。
例えば、廃プラスチック有効利用率の低さ、海洋プラスチック等による環境汚染が世界的課題であり、
日本では国内で適正処理・3Rを率先し、国際貢献も実施していました。
しかし、世界で2番目の1人当たりの容器包装廃棄量、アジア各国での輸入規制等の課題があります。
主な措置内容
基本方針の策定
プラスチックの資源循環の促進等を総合的かつ計画的に推進するため、以下の事項等に関する基本方針を策定されました。
- プラスチック廃棄物の排出の抑制、再資源化に資する環境配慮設計
- ワンウェイプラスチックの使用の合理化
- プラスチック廃棄物の分別収集、自主回収、再資源化 等
ワンウェイプラスチックとは?
- 使い捨てプラスチック(コンビニのスプーン、フォーク等)を指しています。
個別の措置事項
設計・製造:
環境配慮設計指針
- 製造事業者等が努めるべき環境配慮設計に関する指針を策定し、指針に適合した製品であることを認定する仕組みを設ける。
- 認定製品を国が率先して調達する(グリーン購入法上の配慮)とともに、リサイクル材の利用に当たっての設備への支援を行う。
プラ製品の設計を環境配慮型に転換
- プラ製品の環境配慮設計に関する指針に即した環境配慮製品を国が初めて認定し、消費者が選択できる社会への移行を目指します。
販売・提供:
使用の合理化
- ワンウェイプラスチックの提供事業者(小売・サービス事業者など)が取り組むべき判断基準を策定する。
- 主務大臣の指導・助言、ワンウェイプラスチックを多く提供する事業者への勧告・公表・命令を措置する。
使い捨てプラをリデュース
- 小売・サービス事業者などによる使い捨てプラの使用を合理化し、消費者のライフスタイル変革の加速を目指します。
排出・回収・リサイクル:
市区町村の分別収集・再商品化
- プラスチック資源の分別収集を促進するため、容器包装リサイクル法ルートを活用した再商品化を可能にする。
- 市区町村と再商品化事業者が連携して行う再商品化計画を作成する。
- 主務大臣が認定した場合に、市区町村による選別、梱包等を省略して再商品化事業者が実施することが可能にする。
製造・販売事業者等による自主回収
- 製造・販売事業者等が製品等を自主回収。
- 再資源化する計画を作成する。
- 主務大臣が認定した場合に、認定事業者は廃棄物処理法の業許可が不要になる。
排出事業者の排出抑制・再資源化
- 排出事業者が排出抑制や再資源化等の取り組むべき判断基準を策定する。
- 主務大臣の指導・助言、プラスチックを多く排出する事業者への 勧告・公表・命令を措置する。
- 排出事業者等が再資源化計画を作成する。
- 主務大臣が認定した場合に、認定事業者は廃棄物処理法の業許可が不要になる。
排出されるプラをあまねく回収・リサイクル
- あらゆるプラの効率的な回収・リサイクルを3つの仕組みで促進を目指します。
以上の措置を通し、
資源循環の高度化に向けた環境整備・循環経済(サーキュラー・エコノミー)への移行を目指します。
以上がプラスチック資源循環促進法の要点まとめとなります。
さいごに
2020年7月よりレジ袋の有料化が行われるなど、プラスチックを減量化すべく様々な取り組みが現在進行形で議論されています。ビル管理に従事する立場としてもプラスチック循環促進法は概要程度は押さえておくといいかもしれません。この記事がビル管受験者だけではなく、ビル管理業界に従事される方の新しい視点や、現場内での提案・取り組みに繋がれば嬉しく思います。
参考サイトリンク
記事を作成するにあたり参考にしたサイトです。
- プラスチック資源循環法関連(環境省HP/外部サイト)