2021年度のビル管試験は難しい年度になると予測されていました。実際の試験では過去問で対策できた問題はどれほどあったのかという点に着目して分析していきたいと思います。
はじめて受験される方やこれから受験される方は、実際の試験を受けるまで過去問準拠の出題割合を意識することはありません。この記事が今後受験を検討する方の情報となれば幸いです。
試験問題の分類方法
当サイトで作成した解答速報をもとに、
問題の難易度を○△×に分類しました。
- ○:過去問で解答できた問題。
- △:過去問で選択肢を絞れるが、出題が細かく解答が少し難しい問題。
- ×:はじめての出題分野・出題形式の問題。(根拠資料が「青本」であることが多い。)
注意:問題の難易度は記事を作成するうえで一定の基準となるよう管理人が独断で判断したものです。個人の理解度・知識量(保有資格等)により分類に誤差があることをご承知おきください。
2021年ビル管試験の分析
各科目の問題を○△×の問題に分類し、過去問準拠でどれだけ解くことができるか分析しました。
総合的な結果は以下となりました。(各科目の分類結果は次ページに記載してあります。)
- ○:119
- △:26
- ×:34
- ★:1(解なし:全員正解)
つまり、過去問を十分に満遍なく取り組み、試験本番で落とすことがなければ119点は得点できたのではないかと思います。
- 建築物衛生行政概論
- 空気環境の調整
- 給水及び排水の管理
は、例年通りで過去問準拠の問題が多く出題されました。細かい数字や、法令問題が多いこの3科目(出題数100問)で点数を稼いでいれば75点ほど取ることができたのではないかと思います。
その他の科目(「建築物の構造概論」以外)についても過去問準拠で解くことができる問題が一定数あり、足切りは問題なかった思います。50~60%程度正解していれば、117点の水準は問題ないと思われます。
また、計算問題は6問出題され、うち5問は過去問準拠の問題でした。問題自体は基礎的な問題(例年通りのパターン)が多く、得点源になり得たと思います。上記分析の119点は計算問題も含んでいますので、計算問題に取り組んでいなければ、総合合格点ギリギリの結果になっていたかもしれません。(計算問題を捨てたことで117点に届かないこともあり得ると思います。)
2021年度試験では下記計算問題が出題されました。
- 濃度の計算問題
- 換気量の計算問題
- 粉塵計を用いた粉塵濃度の計算問題
- 水平面照度の計算問題
- 循環流量の計算問題
- 廃棄物保管場所の算定面積の計算問題(今後、記事追加予定)
簡単なパターンで解ける問題ばかりです。
△の問題についても、選択肢をある程度絞ったうえで、半分程度正解することができれば、追加の得点源となり得ます。×の初めての出題形式にしても、過去問の要点を理解して入れば対応できた問題もあります。
合格者の方からいただいた情報・感想をもとにすると、
- 過去問の選択肢(要点)だけに取り組んだ人=120点前後
- 過去問の選択肢(要点)+解説も読み込んだ人=130点前後
- 過去問の選択肢(要点)+解説+様々な媒体で補完をした人=135~140点前後
あたりの点数になったのではないでしょうか。
2021年度試験は過去問(計算問題含む)を十分に満遍なく周回して、基礎的な部分(要点)を理解していれば総合合格点を超えることができたと思われます。
注意:もちろんビル管試験は出題範囲が広いので、膨大な基礎的な部分を把握するのも大変だと思いますし、苦手分野があれば合格点が厳しいこともあります。それぞれの勉強期間、勉強時間も異なります。○の問題で点数を稼げなくても、△×の問題で合格点に達することも十分にあります。あくまでビル管試験と過去問の出題割合を見る分には問題がないのではないかという分析です。
とはいえ過去問だけ取り組めばいいのではなく、
勉強するにあたっては様々な参考書が出版されているので、どんどん活用する方がよいと思います。情報も多岐にわたり広く知識を蓄えることができます。
当サイトのおすすめ勉強法はこちらです。
「建築物の構造概論」の分析と対策
「建築物の構造概論」は15問中7問が難問であったと思います。
「建築物の構造概論」の約半分の問題が過去問だけでは対策しきれない問題でした。過去問で対策できた問題は5問ありますが、出題範囲を満遍なく十分に勉強していなければ5問も厳しかったと思います。「建築物の構造概論」を自信を持って解答できた受験者の方は非常に少なかったのではないでしょうか。
受験体験記でも「建築物の構造概論」が難しすぎたと報告がありました。(根拠資料も青本準拠が多く、解答速報作成でも時間がかかりました。)
ほかの科目は過去問だけで十分に足切りを回避することはできましたが、「建築物の構造概論」では厳しいかもしれません。やはり難しいとされる年度の試験は「建築物の構造概論」の科目落ちをされる方が一定数いると思われます。対策が難しいため、非常に厳しい科目であったと思います。
- ○:5(33%)
- △:2
- ×:7
- ★(解なし:全員正解):1
★特に96問目が「解なし:全員正解扱い。」となったことで救われた方が多くいたと思います。
ビル管試験では過去問を繰り返し勉強することが非常に大切ではあるのですが、「建築物の構造概論」については他の科目と同じ要領で勉強してはいけません。
対策としてはやはり、満遍なく十分に過去問を繰り返しながら、赤本の解説を細かい表まで暗記(理解)して確実に○△で点数を確保することになるかと思います。この科目だけは苦手分野や捨て問をない状態まで仕上げたうえで試験に挑まなければいけません。
また、「建築物の構造概論」の約半分が青本より問題が出題されている状況がありますが、
青本の「建築物の構造概論」は約180ページあるうえに、出題点が細かいので、どこまで青本を読み込むのが現実的か悩ましいところです。
青本について知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
以上が2021年度ビル管試験の分析となります。
この記事が今後受験を検討する方の情報となれば幸いです。