未経験ビルメンとなるまで
私はもともと信託銀行系不動産会社にいました。
すごくやりがいもあったし、契約を取れた際は達成感も感じていました。
しかし、労働環境のきつい日々を送っていました。プライベートもゴルフやBBQなどイベント目白押しで若手は強制参加でした。2年経つ頃には疲弊しきっていました。
そんな状況を変えたくて不動産会社を退職し、ビルメンテナンス業界へ飛び込みました。
- いまは本当に転職してよかったと思っていますが、未経験業種への転職は苦労の連続でした。
- 未経験でビルメン業界に挑戦しようとしている方に向けて、管理人が感じたビルメン業界についてまとめてみました。
ビルメンの1日(シフト勤務の場合)
はじめに代表的な勤務形態の日勤・宿直をご覧ください。(ビルメンはシフト制であることが多いです。日勤や宿直、遅番、早番等様々な勤務形態があります。)
日勤の場合
- 9:00:朝礼、前日作業の報告や、引継ぎ事項の確認
- 10:00~12:00:監視業務(空調の管理等)、点検業務(日常点検や月例点検)
- 作業が終われば待機時間
- 12:00~13:00:昼休憩
- 13:00~16:00:監視業務(空調の管理等)、点検業務(日常点検や月例点検)
- 作業が終われば待機時間
- 17:00:夕礼、作業の報告や、引継ぎ事項の確認
- 18:00:退社
宿直の場合
- 9:00:朝礼、前日作業の報告や、引継ぎ事項の確認
- 10:00~12:00:監視業務(空調の管理等)、点検業務(日常点検や月例点検)
- 作業が終われば待機時間
- 12:00~13:00:昼休憩
- 12:00~16:00:監視業務(空調の管理等)、点検業務(日常点検や月例点検)
- 作業が終われば待機時間
- 17:00:夕礼、作業の報告や、引継ぎ事項の確認
- 18:00~19:00:夜休憩
- 19:00~24:00:事務作業(点検表の作成や、作業報告書の作成)
- 作業が終われば待機時間
- 24:00~7:00:仮眠(不具合や作業があれば対応)
- 7:00~9:00:日報の作成
- 9:00:朝礼(退社)
上記作業のほか、テナント対応(蛍光灯の交換や雑務作業)、不具合があれば一次対応や協力会社の手配をします。また年間計画の保守作業や立会いを行い、関係省庁への提出資料があれば作成したりします。仮眠時間もありますが、不具合や作業があれば対応をします。
不動産会社では毎日終電まで仕事していたため、すごく魅力的な仕事だと思いました。
未経験ビルメンは楽な仕事なのか?
待機時間がたくさんあるから楽な仕事。←間違い!!
- 現場配属された際は、誰よりもビルメンの知識・経験・資格もありません。また現場のルールや設備機器もわからない状態です。機器の操作方法もわからなければ、どんどん仕事を覚えていくしかありません。当たり前ですが、何もしない人が配属されても現場の人は困るだけです。
待機時間が多く楽だと思いがちですが、最初のうちは本当に覚えることが多いです。
- めちゃくちゃ苦労しました。(工具の名前もわからなし、設備もわからないし、ちょっとした修繕でも対応できない等自分の非力さを痛感しました。)
- 宿直で1人泊まりになる可能性もあります。自分を守るため、いざという時のために備えておく必要があります。(←知りません、できませんが通じないです。)
わからないことは確認しながら対応し、少しずつできることを増やしていくしかありません。現場の人たちも、人工(にんく)が増えたことで作業やシフトに余裕が出ることを期待しています。
ある程度対応できるようになってから待機時間が魅力的になる業界です。←実感!!
楽な仕事だろと思って入社したら、思いのほか必要な知識が多く、仕事に慣れるまで大変な思いをしました。反面、慣れてしまうと毎日が快適になります。
不具合が起きた際の対応が必須
不具合が起きた際は、原因の調査や一次対応、各所への連絡、報告書の作成をする必要があります。日々のルーティーンも大切なのですが、不具合発生時に緊急対応ができるかどうかはもっと大切です。テナント資産に影響を及ぼす不具合は、大事になります。
- 不具合対応(設備機器の知識・経験)、協力会社手配、安全確保
- 電話・メール連絡(責任者、管理会社への正確な報告(進捗確認))
- 報告書の作成(ある程度の書類作成能力(PCでの事務処理))
このあたりを適宜処理していく必要があります。
不具合対応はある程度経験してくると慣れてきます。緊急性の判断も養われてきます。過度に心配することもありません。
- 不具合はいつ発生するかわかりません。
- 仮眠時間に警報が鳴る場合は、一人で対応することも多いです。
- 緊急時の対応はビルメン業界では避けて通れません。
多くの資格に挑戦すべき
最初の1~2年は通常業務をこなすことで手いっぱいになるかもしれませんが、並行して資格取得に向けた勉強はした方がいいです。資格手当だけで月3~4万円ほどになることもあります。また、同業他社に転職する際の知識と経験の証明となります。
初級資格として
- 危険物取扱主任者乙4類
- ボイラー2級→ボイラー1級
- 冷凍3種→冷凍2種
- 第二種電気工事士→第一種電気工事士
- 消防設備士
の資格があります。
危険物取扱者乙4類、ボイラー2級、冷凍三種、第二種電気工事士の資格で「ビルメン4点セット」と呼ばれています。まずはこの資格取得に向けて勉強を始める方が多いです。
おすすめ勉強法はこちらの記事で紹介しています↓↓
講習で取れる資格として
- エネルギー管理員/考査テストあり
- 防災センター要員/考査テストあり
- 消防設備点検資格者(1種・2種)/考査テストあり←(受講料高いですが)お勧め!!
上位資格として
- 電験三種
- 建築物環境衛生管理技術者(ビル管理士)←難易度ともにお勧め!!
- エネルギー管理士
電験三種、ビル管理士、エネルギー管理士で「三種の神器」と呼ばれています。
上位資格は難易度が高いですが、資格手当も厚く、自分が担当する業務の幅が広がる可能性があります。また、給与や待遇の交渉材料となることが多いです。
ビルメン業界は年収が低いといわれていますが、資格を取得し、手当が充実してくるとなかなかの金額になってきます。ほかにもいろんな資格がたくさんあるので会社や自分のキャリアアップを考えたうえで受験することをお勧めします。
管理人が感じるビルメン業界のいいところ
勤務時間がしっかりしており、自分の時間を作りやすい。
- ある程度の対応ができるようになると待機時間に融通が利くようになってきます。資格の勉強や、読書をしている人が多いです。私は同僚と資格の勉強法を教えあったりしています。また、残業をした分だけ残業代がきちんと出ます。代休も有休もとりやすく、労働基準法をきちんと守っている会社が多いと思います。
(管理人的には)職場環境がいい。
- 時折キャラの濃い方もいますが、きちんと仕事をこなす方が多いです。
- ベテランから新卒の子まで寡黙でまじめな人が多いです。パワハラやモラハラは他業界と比べると少ないのではないでしょうか。体育系ノリは少ないと思います。
もちろん現場や人により感じ方が違うと思います。
休みが多い。
- 会社によると思いますが宿直明けの日と翌日は休みとなることが多いです。またシフト制のため事前に有給申請を行えば有給をとりやすい環境だと思います。実質休みが多いので趣味や勉強の時間にたっぷりと時間を使えます。以前は明けで温泉に行くことなどありました。
管理人が感じるビルメン業界の辛いところ
目標がなければ何もせず一日が終わることがある。
- 人によるところがあるかもしれませんが、待機時間が多く魅力的なのですが、何もせず一日が過ぎ、それが数日続くと精神的に不安(焦り?)のようなものを感じることがありました。私はそれが嫌で常に資格に挑戦し続けています。自己成長を求める方は資格取得や仕事の幅を広げるなど自ら挑戦していっているような気がします。
汚れ仕事や害虫と接することが多々ある。
- 汚れ仕事(汚水関係や厨房のグリストラップの詰まり対応等)や、害虫がたくさんいるところで作業することが多々あります。作業服は汚れますし、身体中ベタベタになることもあります。
危険な場所で作業をすることがある。
- 安全帯などは付けますが、高所作業や落下の危険がある場所で作業をすることがあります。高い場所にある蛍光灯の交換や、足場の悪い天井裏での作業ではいつもに増して気を付けて作業をしています。配線に引っかかってしまうほど狭い場所もあります。
- 安全に作業ができるように複数人で安全を確保しながら作業をしていますが、危険な場所での作業は辛いことが多いです。
私は高所作業台(14m)での作業がすごく怖かったです。安全帯など付けているのですが、自分が動くと乗っているカゴが揺れて腰が抜けそうになりながら作業をしました。
向いているかは人それぞれ
これから業界に挑戦しようとしていている方の参考になるように、ギャップを感じてしまわぬように、具体例をあげながら解説をしてきました。
個人的にはビルメン業界はホワイト寄りの業界と感じていますが、
「なんてブラックな業界だーー!!」
と言って辞めていく方も見てきました。
感じ方は人それぞれなので何とも言えませんが、
- こんなに仕事を任されるとは思わなかった。
- 責任のある仕事をしたくない。
- 仕事の指示をされたくない。
- 事務作業が細かすぎる。
という理由の方が多かったです。
最初から楽を求めてビルメン業界に入ってきた方が多いです。
未経験ビルメンに最初から楽を求めているとギャップが生じる可能性があると思います。
- ビルメン業界に挑戦してみたい。
- 待機時間等を使っていろんなことに挑戦してみたい。
という仕事に前向きな方はビルメン業界でも活躍できると思います。
以上が未経験でビルメン業界に挑戦して感じた大切なこととなります。
また、当サイトは「ビル管理士試験」の勉強サイトとしても力を入れています。試験勉強の際は力添えできると思うので、その際はご活用いただけると嬉しいです。